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第3回目(前半)「幸せと暮らしを支えるために」

インタビュー
北嶋さん写真

島田 ルリ子さん

株式会社 ゆい
ゆい青葉 居宅介護支援事業所 管理者/ケアマネジャー

事務局長写真

森川 悦明

聴き手
医療法人社団フォルクモア
事務局長

 

 

ケアマネは相手の立場にたってモノを見ることで
多様な価値観を知ることができる仕事

重度障害者施設の寮母が出発点
ヘルパーとして施設介護から在宅介護へ

森川
まず、島田さんがケアマネジャーの仕事を選ばれた理由やキャリアを聞かせてください。
島田
私は北海道で生まれました。短大を卒業したときに「自分の身体を使って、ヒトに何かを届けるサービスは気持ちがいいだろうなあ」と思って飛び込んだのが、重度障害者施設でした。職員が寮母と呼ばれていた時代です。障害者自立支援法ができる前で、ちょうど障害者が地域に生きるということがメディアでも放映されていて興味を持ちました。看護師の指導の下、看護助手のような形で、障害者施設に暮らす重度の方の生活の中に入っていく仕事でした。

 

森川
施設のなかでも、いきなり重度障害者施設とは、ハードルが高いように感じますが。
島田
いえ、私はそうは思わなかったです。ヒトにものを売ったりする仕事よりは、ヒトに何かをする方が、ヒトとして簡単という感じを持っていました。車椅子を押したり、トイレに誘導したりとか。障害者の方がごく当たり前に生活することをお手伝いさせていただくことは、ある意味ふつうの、困っている人がいたら助けるということと同じだと感じていました。ただ、私には専門性もなく、その方の病気とか、その方が障害をもつことになった原因とかを知らないまま介助の仕事をしていることにわだかまりを感じてもいました。学習の機会がないまま手探りで仕事をしていて、わからないというモヤモヤした気持ちが常にあったのです。

 

森川
拘わった仕事のモヤモヤから、福祉をきちんと学んで専門性を身に着けようと、横浜に?
島田
横浜市に転居したのは結婚が理由ですが、誰かに手を差し伸べることができる仕事はないかと考えていたところ、家の近所に介護老人保健施設ができました。保育園も自宅のそばにあったので、ヘルパーの資格を改めて取り直して、介護の仕事に入ったわけです。
森川
福祉の仕事は、島田さんのご性格にあった天職なのですね。
島田
だまっていられない性格、おせっかいなのだと思います(笑)。
入職した老健では、施設の空間が無機質だなあと感じました。特に、認知症棟はそうでした。入所されている方の長い人生が切り取られてしまい、迷い込んできたような空間でした。
私は、この施設に入る前にご自宅でどういう生活をしていたのかが、とても気になるようになりました。すごく知りたいという興味が高じて、施設の仕事から在宅の仕事に関心をもっていたところ、老健のショートステイに来られていた方が 株式会社ゆい からの紹介が多かったことが縁で、ご自宅へ伺う訪問介護の仕事に転じました。訪問介護をしながら、ゆくゆくはケアマネという仕事をしたいと考えていました。

一部を手伝って暮らしを支える在宅介護
誰も切ない思いにならないようにアドバイス

森川
しかし、施設での介護と在宅での介護は、似て非なるところがありますよね。
島田
はじめは、24時間を支えているというイメージは持てませんでした。一日のうちの、ほんの一部を支えるという感じでしょうか。
でも、在宅介護では、状態の変化に気づいてサポートできますし、支援を増やすことも減らすこともできます。デイサービスなど様々な制度を利用しながら、専門職がチームになって高齢者の方々のご利用者の生活を支えるので、今では、1週間のうちに2~3回訪問するだけで、その方の暮らしが継続できることは素晴らしいことだと考えられるようになりました。いろいろなリスクがあったとしても、お家に住み続けられることは良いことだなあと、つくづく感じます。

 

森川
私は、デンマークの在宅介護の実際を視察したことがあるのですが、独居のお年寄りの日々の活動をどう支えていくかという視点でケアを捉えていて、手厚い介助を良しとする日本の介護の姿との違いを感じました。その時の印象と重なりますね。
島田
先々、家族に迷惑をかけたくないと、八割、九割の方がおっしゃいます。でも、ほとんどの方が、施設に入ることに抵抗を感じておられます。
私は、ご自宅で暮らしているのなら、何かが起こっても本望なのかなと思っています。少なくとも、ご本人が痛い思いをせずに、周りのご家族に大きな負担をかけることもなければ、終末をご自宅で迎えさせてあげたいと、いつも思っています。最期のステージだとしたら、なおさら思い描いたように生活をしてもらいたいですね。
ただ、ご家族には介護に関する知識が多くはないので、「こんな風にすれば、誰も切ない思いをしないで生活できますよ」とアドバイスして差し上げます。ケアマネはそういった立ち位置にあります。もちろん、ご本人が誰かの手助けが必要だと感じて施設に入る場合は、それも良い選択だと思います。

 

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